2023年度の政策提言・意見について
日本全国の小規模飲食店、約1万店舗が参画する当協会は、地域経済を牽引する⼩規模飲⾷店の“⼩さな声”を、政府・関係省庁・関係団体の皆様へ届けるため、日々活動しております。 つきましては、本年度における当協会としての要望をまとめましたので共有いたします。 飲食店におけるインバウンド対策への支援 急激な物価高騰や特別融資の返済等による経営難への対策 賃上げと人材確保・人手不足への対応 持続的発展に向けた事業承継・後継者育成支援 食品ロスへの意識不足改善 飲食店における国際金融都市への対応 飲食店における喫煙環境の整備 【要望書】 新型コロナウイルスの5類感染症への移行に伴い、日常生活やビジネス活動が正常化し、 売上はコロナ禍前まで回復してきている一方、原材料やエネルギー価格高騰等のコスト増が小規模飲食店の収益を圧迫している。加えて、人手不足の深刻化に伴い、多くの小規模飲食店では、人材確保・維持のため、収益が改善しない中、賃上げに取り組んでいる。小規模飲食店を支えるための小規模飲食店向け賃上げ促進税制の延長・拡充等、支援政策を求めたい。 他方で、小規模飲食店は文化や伝統、時に子供の見守り等、地域の包摂性、安全・安心コミュニティを支える存在である。小規模飲食店の自立的な経営を実現するため、まちづくりやインバウンド需要の取込み等、地域全体の需要と消費を喚起する政策支援の拡充が必要である。 また小規模飲食店の経営においては、食事の提供と共に、社交場のコミュニケーションを豊かにする嗜好品(酒、たばこ等)の取り扱いが、集客・滞在の生命線となる。新規飲食店の喫煙選択余地を創ることや更なる社会的な分煙対策を進めることで、喫煙者、禁煙者双方にとって居心地の良い空間を提供できるよう、国と自治体が一体となり、環境整備を進めていただきたい。 ▼要望事項 ①飲食店におけるインバウンド対策への支援 現状と課題 訪日外国人においては、海外と喫煙に関するルールが異なる日本における適切な喫煙行動が理解されにくいため、不適切な路上喫煙やポイ捨てが発生し、トラブルにもなりかねない 昨今のタクシー乗務員不足により夜間帯における移動が制限され、特に深夜帯での小規模飲食店の利用が進みにくい状況となっている コロナ禍を経て日本人においても、夜間帯の移動が制限は飲食店およびナイトエンターテイメント業界には非常に大きな課題 コロナ禍の行動変容や夜間帯における移動制限が原因となり、特に二次会需要の小規模飲食店においては客足が戻っていない状況がある 要望事項 訪日外国人に対して、喫煙可能な店舗を適切に理解していただくための店頭周知をより明確化し全国で統一的に展開すること 日本独自の喫煙ルールについての周知方法を適切に実施すること 喫煙可能であることの店外告知の方法の統一化 タクシーの需要過多に対する国の対策強化 ナイトタイムエコノミー政策の推進 訪日外国人等来訪者増加を好機に捉え、「消費拡大」や「滞在時間の延長」による街の活性化を図るために小規模飲食店への支援を強化すること ②急激な物価高騰や特別融資の返済等による経営難への対策・税制支援 現状と課題 昨今の急激な原材料費・エネルギー費の高騰、コロナ禍に受給したゼロゼロ融資など、新型コロナウイルスに対応した特別融資の返済開始、返済がピークを迎えていることなどにより、小規模飲食店の経営は困窮を極めている 小規模飲食店の厳しい経営環境を克服するためには、客単価の引き上げによる付加価値拡大が必須である。一方で、税務上の交際費から除かれる飲食費の基準があるため、社内規定で1人5,000円以下と定める法人が多く、小規模飲食店の客単価引き上げが困難な要因となっている 簡易課税制度におけるみなし仕入率について、他の事業区分が見直しをされる中、飲食店業に関しては1991年以降変更されておらず、原材料費や輸送費の高騰によるみなし仕入率の上昇も勘案されていない 事業者免税点制度の適用は年間売上1,000万円以下の事業者であるが、飲食店業の1坪当たり売上平均は年間140万円※[i]、小規模飲食店においては10坪以上の店舗が多いため、年間売上1,000万円以下という条件では該当しないケースが多い ※[i]: 2021年 日本政策金融公庫資料より 要望事項 経営実態に即した、新規融資・借換え・返済猶予等の資金繰り支援 減免を含めた債務整理・再チャレンジ支援の強化 ゼロゼロ融資について国の負担による利子補給期間の変調や借換に伴う追加保証料の補助など、利用者の返済負担軽減への支援を強化すること 中小企業の事業活動に不可欠な交際費課税の特例措置(800 [...]